フェイスラインや鼻などの顔痩せが期待できる脂肪溶解注射のリスクと注意点

脂肪溶解注射は、脂肪細胞を破壊して体内の脂肪細胞の数を減らせるといわれています。

脂肪溶解注射が登場したころは、施術後の腫れが大きく1週間~2週間ほどのダウンタイムが必要でしたが、薬剤の進化により施術後の腫れが少なくなり、顔への施術も増えてきました。

ダウンタイムも短く、比較的容易に受けられる顔への脂肪溶解注射ですが、リスクや注意点を知らずに施術を受けると、施術後に問題が起きる可能性があります。憧れの小顔を目指すためにも、脂肪溶解注射を受ける前にリスクと注意点を確認してください。

• 1）皮下脂肪の減少が期待できる脂肪溶解注射
• 2）顔へ注入ができる脂肪溶解注射の薬剤
• 3）脂肪溶解注射で期待できる顔痩せの種類と注入量
• 4）顔に脂肪溶解注射をおこなう際の注意点
• 5）脂肪溶解注射以外で脂肪の減少により顔痩せが期待できる施術
• 6）脂肪溶解注射の効果をより高める方法・施術
• 7）脂肪溶解注射で失敗しないための医療機関の選び方

皮下脂肪の減少が期待できる脂肪溶解注射

脂肪細胞は総数が決まっていて、大きくなったり小さくなったりすることで、体重が増えたり減ったりします。脂肪溶解注射は、総数が決まっている脂肪細胞自体を破壊する効果が期待できるため、リバウンドの少ない施術といわれています。

脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪がありますが、脂肪溶解注射で効果が期待できるのは皮下脂肪です。

顔へ注入ができる脂肪溶解注射の薬剤

主な脂肪溶解注射の薬剤名一覧

薬剤名	メーカー	主な成分
アルフォコリン	Daewon Pharmaceutical社(韓国)	植物由来成分
カベリン	NewFace Laboratories社(韓国)	デオキシコール酸
サゴニメルト	Skin Tech Pharma Group社(スペイン)	デオキシコール酸
ミケランジェロ	Renaissance srl Beauty Through Art社(イタリア)	フォスファチジルコリン・デオキシコール酸
リバイタルセルフォーム	プロモイタリア社(イタリア)	フォスファチジルコリン・デオキシコール酸
輪郭注射	SMIL DIET社(スペイン)	植物由来成分
BNLSneo	GRAND M&C社(韓国)	植物由来成分・デオキシコール酸
Fat Xcore	TNS社(韓国)	デオキシコール酸
LINE Fit	HANS PHARMA社(韓国)	デオキシコール酸
MITI	HANS PHARMA社(韓国)	フォスファチジルコリン・デオキシコール酸

脂肪溶解注射の主な成分は3つに分けられます。

デオキシコール酸

日本では使われていない｢カイベラ｣という脂肪溶解注射の主成分で、脂肪細胞の細胞膜を破壊して脂肪細胞を減少させる効果がアメリカのFDA(米国食品医薬品局)に認可されています。細胞膜を破壊するときに炎症をおこすデメリットがあります。

ホスファチジルコリン

デオキシコール酸のようにFDAなどに認可されているわけではありませんが、数々の臨床データにおいて、皮下脂肪の減少が認められています。脂肪細胞の減少に対するメカニズムは解明されていませんが、デオキシコール酸と同様に炎症を引き起こすデメリットがあります。

植物由来の薬剤(クルミ・海藻など)

デオキシコール酸・ホスファチジルコリンよりも後に開発された成分で、クルミや海藻など植物から抽出したエキスが、皮下脂肪の減少に効果が期待できるとされています。植物由来のエキスに関してもFDAなどの認可はありませんが、臨床データから皮下脂肪の減少が確認されています。デオキシコール酸・ホスファチジルコリンよりも脂肪細胞が減少するときの炎症は少ないとされています。

アルフォコリン

大豆から抽出した成分で作られています。有効成分はグリセロホスホコリン(GPC)で脂肪細胞を溶解できるとされています。 植物由来の成分のため、炎症が少なく施術後の腫れや痛みが少なく一般的な注射と同様だとされています。

カベリン

デオキシコール酸が有効成分ですが、L-カルニチン・アーティチョークエキスなどが入っていることで、従来のデオキシコール酸を使った脂肪溶解注射よりも腫れや痛みが少ないとされています。また、L-カルニチン・アーティチョークエキスには、リンパの流れや血流を向上させる効果も期待できるので、デオキシコール酸が破壊した脂肪細胞を排出しやすくなるといわれています。

ミケランジェロ

デオキシコール酸・フォスファチジルコリンが有効成分の薬剤です。炎症を引き起こす成分が入っていますが、カルニチン・カフェイン・αリポ酸などが入っていることにより、炎症を抑えることが期待でき、痛みや腫れが少ないといわれています。 さらに、脂肪の燃焼を促進させたり破壊された脂肪細胞の排出を促す効果も期待できるとされています。

リバイタルセルフォーム

フォスファチジルコリンが有効成分の薬剤で、アミノ酸などが入っています。 有効成分のフォスファチジルコリンが炎症をおこすため、施術後に腫れや痛みがありダウンタイムとして1週間~2週間ほど必要だといわれていますが、他の薬剤に比べて効果が早く出るといわれています。

輪郭注射

植物由来(メディカルハーブ)のエキスが有効成分の薬剤で、脂肪溶解だけでなくFirming(引き締め)効果の期待できる成分も入っています。痛みや腫れなどはほとんどないようですが、効果もマイルドだといわれています。

BNLSneo

BNLSneoは、植物由来の成分のみだったBNLSにデオキシコール酸が加えられたものです。デオキシコール酸が加えられたことにより、従来のBNLSより効果が期待できるとされています。効果はマイルドですが、現在日本で使用されている脂肪溶解注射の中では痛みや腫れが少なく、多くの医療機関が顔への脂肪溶解注射として使用しています。

Fat Xcore

従来のFat XにNAIS complex(Natural anti-inflammatory system)成分が加えられた薬剤がFat Xcoreです。 NAIS complex成分は抗炎症効果・抗浮腫効・脂肪細胞の分解誘導などの効果があるとされている成分で、従来のFat Xよりも痛みや腫れが半分ほどに改善されたといわれています。

MITI

フォスファチジルコリンが有効成分の薬剤です。フォスファチジルコリンの他にIGF-1(インスリン様成長因子)が入っており、代謝や筋肉の活性化により脂肪を除去すると同時に、ハリも期待できるといわれています。

脂肪溶解注射で期待できる顔痩せの種類と注入量

フェイスライン・頬への脂肪溶解注射で目指せる小顔

フェイスラインや頬にある皮下脂肪が原因で顔が大きく見えてしまう場合、フェイスライン・頬に脂肪溶解注射を打つことで小顔効果が期待できます。

1回の施術で、フェイスラインには2cc~4cc、頬には2cc~8ccほどの注入量が目安になります。注入量が多すぎると、顔がこけてしまい老けてみえる可能性があるので注意が必要です。

鼻への脂肪溶解注射で目指せる団子鼻の改善

団子鼻の原因が皮下脂肪である場合、脂肪溶解注射によって皮下脂肪を減少させることで鼻筋が通る・小鼻が縮小する効果が期待できます。

4cc~8ccの注入量が1回の施術の目安です。

顎下への脂肪溶解注射で目指せる二重あごの改善

顎下に脂肪溶解注射を打つことで、二重あごの改善が目指せます。1回の施術で3cc~5ccの注入が目安になりますが、二重あごの原因が皮下脂肪ではなくたるみの場合は改善されないのでスレッドリフトなど他の施術が必要になります。

顔に脂肪溶解注射をおこなう際の注意点

顔に脂肪溶解注射をおこなうリスク

内出血する可能性がある

脂肪溶解注射は皮下に注射をする必要があり、注射のさい毛細血管が傷つくと内出血をする可能性があります。原則として1週間~2週間ほどで改善されるといわれていますが、施術後に予定がある場合は日程をずらすなど、注意が必要です。

たるみやすくなる

脂肪により張っていた表皮は、脂肪溶解注射で脂肪が減少することによりたるみやすくなります。脂肪溶解注射にたるみを防止する成分が入った薬剤もありますが、脂肪溶解注射を打ったことがない人に比べるとたるみやすくなるといわれています。

顔に脂肪溶解注射をおこなう際の痛みとダウンタイム

脂肪溶解注射の痛み

注射のため、肌に打つときに痛みが生じますが、麻酔をすることも可能ですので、痛みが不安な方はドクターに相談してください。また、カニューレという先の丸い注射針を使用することで痛みを抑えることも可能です。麻酔やカニューレの使用は別途料金がかかる可能性があるので、不安な方は医療機関に問い合わせてみてください。

脂肪溶解注射のダウンタイム

脂肪溶解注射は、薬剤の種類によりダウンタイムが異なります。ほとんどダウンタイムがない薬剤もあれば、1週間~2週間ほどダウンタイムがある薬剤もあります。 ダウンタイムが長いほど効果が期待できるとされています。

脂肪溶解注射は複数回の施術が必要

薬剤にもよりますが、脂肪溶解注射の効果を感じるには、通常3回~5回の施術が必要だといわれています。1回の施術の効果はあまり高くなく、回数を増やせば効果が高くなるといわれていますが、連続で10回以上施術を受けると効果が半減する可能性があります。

脂肪溶解注射は日本で未承認の薬剤

現在、日本で使用されている脂肪溶解注射は厚生労働省の認可がありません。脂肪溶解注射を打つ場合は、医療機関でリスクや注意点などをきちんと説明してもらい、納得したうえで施術を受けてください。

脂肪溶解注射が受けられない方

• 甲状腺疾患の方
• 薬剤の原料にアレルギーのある方
• 妊娠中、授乳中の方
• 抗がん剤治療をおこなっている方
• 施術部位やその周囲に未治癒の外傷や炎症がある方
• 免疫不全の疾病がある方、自己免疫疾患の方
• 細小血管障害、血管不全の疾病がある方
• 施術を受ける当日に飲酒をしてきた方
• そのほか施術を受ける医療機関で不適応と判断された方

脂肪溶解注射以外で脂肪の減少により顔痩せが期待できる施術

脂肪吸引

物理的に脂肪を体外に取り出す外科手術です。術後、痛みやダウンタイム、内出血などがありますが、顔痩せの施術では1番効果が高いといわれています。

バッカルファット術

バッカルファットとは、皮下脂肪とは異なる頬の深層にある脂肪のことです。 バッカルファットが多いと頬が膨らんで見えたり、顔全体が膨らんで見えるなどのデメリットがあります。

バッカルファットを取り除くことで顔痩せが期待できます。バッカルファット術では、頬の内側を少し切開してバッカルファットを取り除くので、術後の傷は分かりません。

ウルトラアクセント

ウルトラアクセントは、脂肪細胞を破壊できる超音波のマシンです。脂肪細胞にだけ反応する超音波で血管やリンパ管を傷つけずに脂肪細胞を破壊し、破壊された脂肪細胞は血流やリンパ管によって運ばれて、尿や便として体外に排出されます。

脂肪細胞を破壊して体外に排出することで顔痩せが期待できます。

脂肪溶解注射の効果をより高める方法・施術

施術後におこなうと脂肪溶解注射の効果をより高められる方法

マッサージをおこなう

施術後、やさしくマッサージをすることで、注射した薬剤が広範囲に広がり、より効果が高くなるといわれています。ただし、痛みがある場合や施術直後は炎症をおこす可能性があるのでマッサージは控えてください。

有酸素運動

有酸素運動をすることで、体の代謝をアップさせることができます。脂肪溶解注射によって破壊された脂肪細胞は、体の代謝によって体外に排出されます。代謝がアップすれば、脂肪細胞を体外に排出する助けになり、脂肪溶解注射の効果をより実感できます。

脂肪溶解注射と併用すると相乗効果が期待できる施術

• リンパ管の流れをスムーズにするリンパドレナージュ
• エラの原因である咬筋を弱めるボトックス注射
• 糸を顔に挿入して物理的に引き上げる糸リフト
• 高周波エネルギーの熱収縮によって皮膚を引き締めるサーマクール
• 超音波エネルギーの熱収縮によって皮膚を引き締めるウルセラ

脂肪溶解注射で失敗しないための医療機関の選び方

顔に脂肪溶解注射を打つ場合、顔の脂肪のつき方によって薬剤を注入する場所と量が重要になります。薬剤を注入する場所と量に問題があった場合、まったく効果がでなかったり、左右で脂肪が減少する量が違うなどのリスクがあります。顔の脂肪のつき方に詳しいドクターは脂肪吸引の手術もおこなっていることが多いといわれているので、脂肪吸引の経験もあるドクターがいる医療機関が安心です。

また、体への脂肪溶解注射の場合、原液を希釈して使用することが原則ですが、顔の場合は範囲が狭いため希釈をせずに原液を使用することが重要です。もし、顔への脂肪溶解注射にもかかわらず原液を希釈して使用した場合、ほとんど効果を感じられない可能性があります。脂肪溶解注射で失敗しないためにも、事前に原液の薬剤を使用する医療機関なのか確認してください。

KIREI