アートメイクのメリット・デメリットと事前に知っておくべき基礎知識

アートメイクのメリット・デメリットと事前に知っておくべき基礎知識

アートメイクとは専用の針を使用して表皮層に染料を注入することで、眉・アイライン・リップにメイクを施す医療行為です。汗や水などで染料が落ちることがないため、メイクが崩れやすいパーツでも美しい状態がキープできます。

メイク感覚で取り入れられる比較的手軽な施術である一方、ドクターとデザインのすり合わせがうまくいかなかった場合や、流行だけを取り入れたデザインにしてしまうことで、失敗と感じてしまう可能性もあります。また、腫れや感染のリスクもあるため医療機関選びなども重要なポイントとなります。

アートメイクは表皮に染料を注入する施術

アートメイクとは皮膚のごく浅い部分(表皮の下0.01〜0.03mm)に医療用の針を使って専用の染料を注入し、アイブロウ・アイライン・リップメイクを施す医療行為です。持続期間は1〜3年ほどで、運動やプールなどでも落ちずに美しい状態を保ちます。

タトゥーとの違いは染料を注入する皮膚層

アートメイクと比較されるものとしてタトゥー(刺青)がありますが、皮膚の浅い部位(表皮層)に染料を注入するアートメイクに対し、タトゥーは表皮の下の真皮層へ注入することが大きな違いとされます。

表皮層は肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を繰り返すため1〜3年程度で染料が皮膚の外へ排出されますが、タトゥーはターンオーバーをおこなわないため染料が残り続けるという特徴があります。

日本では医療行為にあたる

2005年、厚生労働省がアートメイクを医療行為として認定したことから、アートメイクの施術が認められているのはドクターと ドクター指導のもとで施術をおこなう看護師のみとされました。また、それ以外の業者による施術は医師法違反とみなされます。

以前はエステサロンなどで医師免許を持たない施術者が安価でアートメイク施術をおこなっていましたが、器具の使い回しによる感染症や知識不足の施術者によるトラブルが問題となったことが背景とされます。必ず医療機関で受けるようにしましょう。

医療補助技術としてのアートメイク

アートメイクは美容を目的とした「コスメティックタトゥー」と、白斑などの皮膚疾患や無毛症などで欠損した眉毛、病気や事故により失った乳輪や乳頭など、ダメージを受けた部位を再現する医療補助技術としての「トリートメントタトゥー」があります。

アートメイクのメリットとデメリット

メリット

  • 長期間メイクをしたような美しい状態をキープできる
  • 眉が薄い、唇の色が暗いなど外見の悩みが解決できる
  • メイクの時間が短縮される
  • 汗や水で落ちることがないためメイク崩れを防げる

デメリット

  • 施術中の痛みやダウンタイムがある
  • 染料の種類によってはMRI検査ができない可能性がある
  • 施術してしまうと1〜3年はデザインを変更することができない

アートメイクの歴史と技術

日本でアートメイクが行われるようになったのは1980年代ごろといわれています。当時は「メイクが落ちない」ことを目的としていたため、均一に染料を入れる手法が用いられ、その仕上がりは立体感のない不自然なものでした。しかし、技術の発展により自然で立体感のある仕上がりを再現できるようになりました。

以下では現在のアートメイクで使用されている技術を紹介しています。

アイブロウメイクで可能なデザイン

1D(エリア) 2D(エリア+グラデーション)
「エリア」と呼ばれる基本テクニックで、眉頭~眉尻まで均等に仕上げる方法。アイブロウペンシルで描いたようなシンプルな仕上がりで、ほかのデザインと比べると立体感は劣る 1Dの技術に加え、眉頭は薄く、眉尻は濃くしてグラデーションをつくり、立体的に仕上げる方法
3D(ストローク) 4D(グラデーション+ストローク)
本物の眉に見えるように、一本一本の毛並みを描いて自然に仕上げる方法 2Dと3Dの両方を用いた、高い技術が必要とされる方法でベースに2D、仕上げに3Dを施し、より本物の眉に近い見た目に仕上げることができる

アイラインで可能なデザイン

アウトライン まつ毛の生え際よりも外側に沿ってラインを描く。目を閉じた時にアイラインが見えるため、メイクをしているように見えます。
ナチュラルライン まつ毛の生え際を埋めるようにラインを描く。目の形を生かした自然な仕上がりになります。
インライン ナチュラルラインより内側の粘膜にラインを描く。

リップメイクで可能なデザイン

フルリップ リップライン
唇全体に色素を注入し、もとの唇の色・形をカバーします。顔全体のバランスを見ながら、唇の山を作ったり、明るく鮮やかな色味にしたりと唇の印象を大きく変えることができます。 リップライン(唇の輪郭)のみに色素を入れる施術です。唇の形がぼやけてきた人は輪郭を補え、唇が薄い人は唇に立体感が生まれ、口紅やグロスを塗ることで口元をさらに引き立たせることができます。
ハーフラインリップ シャドーリップ
唇の輪郭を整えるためにリップラインを入れた後、内側に向かってグラデーションにより濃淡をつけます。自然で印象的な唇に仕上がります。 輪郭を強調せず、メイク感のない自然な見た目に仕上げる施術です。

医療アートメイクはデザイン決めが重要

アートメイクは一度施術をおこなうと1〜3年程度染料が定着するため、失敗と感じてしまっても元の状態に戻すまでには時間がかかってしまいます。そのため施術前のデザイン決めが重要になります。デザイン決めでベースとなるポイントには3つあります。

1.黄金比をもとにデザインを決める

顔のパーツには一般的に美しいとされる「黄金比」が存在します。その比率を基準にデザインを決定すると良いとされます。

眉の黄金比

  • 頭は小鼻の延長線上に設定
  • 眉山は黒目外側と目尻の間に設定
  • 眉尻は口角と目尻の延長線上に設定

目の黄金比

  • 目の縦幅と目の横幅の比率が1:3
  • 目の縦幅とまぶたの幅の比率が1:1

唇の黄金比

  • 上唇と下唇の比率が1:1.3〜1.5

2.流行を優先しすぎず自身の顔に合わせる

メイクの流行を優先したデザインにしてしまうと、染料が定着している期間内に流行が変わっても前の流行のままのデザインで過ごさなければなりません。アートメイクでは流行を優先しすぎず、自分の顔全体のパーツ、普段のメイクの濃さや頻度などに合わせてデザインを決定すると良いでしょう。

3.施術担当者と入念にすり合わせる

アートメイクが失敗してしまったと感じる原因の一つに施術者とのデザインのすり合わせが十分でなかったことによる仕上がりの違いがあります。デザイン決めの際は理想的な仕上がりイメージがわかる芸能人などの写真を持参し、納得した上で施術をおこなうようにしましょう。

アートメイクで使用するニードルの種類

アートメイクで染料を注入する時に使用する専用のニードル(針)にはさまざまな種類があり、希望するデザインなどによって使い分けられています。

針型 1〜7本が1組になったニードル。眉などを仕上げる場合は一般的に3本針を使用することが多いとされます
平針型 色素を均一に反映させる場合に使用する
平斜め針型 角度のついた針なので、グラデーションや連続したラインを描くのに適している

施術方法はニードル注入とマシン注入の2種類

アートメイクには手技によるニードル注入と、専用のマシンによるマシン注入の2つの施術方法があり、それぞれ仕上がりに違いがあります。

ニードル注入は自然で繊細なデザインを再現

ペン型のニードルを使用して施術者が手作業で染料を注入していく手法では、施術部位を確認しながら丁寧に注入をおこなうため、マシン注入ではできない自然な気流れや繊細なグラデーションなどが再現できるというメリットがあります。しかし、仕上がりが施術者の技術やセンスに大きく左右されるため、専門の医療機関やアートメイクの資格・研修経験などのある施術者を選択すると良いでしょう。

マシン注入はパウダーのような質感を再現

アートメイク専用のデジタル機器で染料の注入をおこないます。手作業と比べて施術時間が短く痛みも少ないといわれています。仕上がりは色ムラが少なく、パウダーで描いたような柔らかな質感となります。痛みが苦手、短時間で施術を終えたい、色ムラが気になる方などに向いているといえるでしょう。

マシンには皮膚へのダメージや施術時の痛みが少ないも、ニードルの注入速度や強弱を調節して手のような動きを再現できるものなどが開発されていますが、経験を重ねた施術者の技術には及ばないのが現状です。

染料の種類と安全性

アートメイクで使用されている染料には黒・茶・赤・白・黄などさまざまなカラーがあり、それらを混ぜ合わせることで理想の色味に近づけます。また、染料にはいずれにも酸化鉄や二酸化チタンなどの金属成分が含まれており、安価なものほど金属成分の含有量は多いといわれています。

この金属成分が反応することが原因で、アートメイクをしている方はMRI検査を受けられない場合があります。しかし、FDA(米国食品医薬品局)に認可されている染料は金属成分が微量とされ、施術後でも検査を受けることができるとされています。ただし、MRIの精度や染料の種類によっては検査ができない場合もあるため、MRI検査を受ける際はアートメイクをしている旨を必ず伝えましょう。

アートメイクの施術の流れ

①カウンセリング・診察

ドクターが施術部位や体調などを確認し、普段のメイクを参考にしながら形や色味などを決めます。痛みに弱い方はカウンセリング時に相談しておくと良いでしょう。また、カウンセリング時にニードル注入かマシン注入のどちらを希望するか、施術者の実績や症例写真なども見せてもらうと良いでしょう。

②デザイン&デッサン

顔のパーツのバランスや骨格を見ながら、顔に専用ペンシルでアウトラインを描きます。鏡を見ながら位置や全体的なバランスを確認し、細かく修正をおこなうことで理想のデザインを目指します。また、希望する形やデザインによっては施術できない場合もあります。

③皮膚の麻酔

施術による痛みを和らげるため麻酔クリームなどを塗布し、30分程度時間をおきます。

④施術

決定したデザインに沿って染料を注入していきます。

⑤クールダウン

施術直後は施術部位のひりひりした熱感を感じる場合があります。クーリングによって熱感が落ち着くのを待ちます。

⑥アフターカウンセリング

施術後の注意点や、ホームケアについての説明を受けます。また、2回目以降の施術が必要な場合は予約などをおこない帰宅します。

施術部位ごとの治療時間の目安

1回あたりの施術時間の目安は、手彫りかマシン彫りかによって変わります。一般的に広範囲を早く施術できるマシン彫りのほうが施術時間が短いといわれています。

部位 時間
約2時間30分
リップ 約3時間

事前の注意事項

  • 施術前日〜当日の飲酒やカフェインの摂取は控えましょう
  • 日焼けをした肌は炎症をおこしている状態なので施術ができない場合があります。施術の約2週間前からは日焼けしないよう気をつけましょう
  • 眉の一時的な染色をおこなう眉ティント、唇を染め上げて口紅の色持ちを長くするティントリップは、本来の眉や唇の色味や形が分からなくなりデザインの際の妨げになることがあります。当日にティント系コスメの色素が残らないように気をつけましょう
  • アイラインの施術をする場合はまつ毛エクステンションは外しておきましょう
  • アイライン施術の場合コンタクトを外して施術するため、メガネを持参しましょう

施術後に気を付けること

施術直後(当日)

アートメイクの施術後は赤みや腫れが生じることがありますが、数日で落ち着く場合がほとんどです。また施術当日の入浴や洗顔は控え、施術部を濡らさないように気をつけます。施術から3日〜1週間程度は医療機関で処方されたワセリンなどの軟膏で患部を保護し、刺激を与えないようにしましょう。

施術当日〜1週間

施術部位以外のメイクは施術直後から可能ですが、施術部位は1週間程度クレンジング剤などが使用できないため、メイクを控えると良いでしょう。

施術当日から1週間日程度はかさぶたによって色味が濃くなりますが、剥がれ落ちると本来の色味に落ち着きます。かさぶたを無理にはがしてしまうと、色素も一緒にはがれてしまうことがあるため、自然にかさぶたがはがれるようになるまで触らないようにしましょう。

染料が薄くなったらレタッチが可能

施術後は定期的に医療機関を受診して、一定期間ごとに色素が薄くなった場所に染料を入れ込むレタッチや色の修正をおこなうことで、きれいなアートメイクの状態を維持できます。

アートメイクができない方

施術を受けることができない方

  • 妊娠の疑いのある方、妊娠中の方、不妊治療中の方
  • 上側のアイラインを希望していて、まつ毛エクステンションを外せない方・緑内障の方
  • アートメイクを受けていて、その傷がまだふさがっていない方
  • 施術部位に皮膚疾患がある方、ケロイド体質の方
  • 感染症(AIDS・C型肝炎・B型肝炎)、血友病の方
  • 口唇ヘルペスの水疱が唇に残っている場合、リップのアートメイクができません

主治医の許可がないと受けられない方

  • 心疾患・糖尿病・高血圧の方
  • がん治療終了後の方
  • 抗凝固剤・ステロイド使用中の方
  • 自己免疫疾患(バセドウ病・橋本病・関節リウマチなど)をお持ちの方

相場は施術部位や施術方法によって異なる

医療アートメイクは自由診療のため保険適用外で、各医療機関により料金が異なります。一般的な料金は以下の通りです。

  • 眉:30,000〜60,000円(税抜)
  • アイライン上下:各50,000円(税抜)〜
  • リップ:50,000円(税抜)〜

アートメイクの失敗事例

  • メイクの流行によってアートメイクのデザインが古くなった
  • アートメイクが退色して、赤・青・グレーがかってきた
  • 思っていたとおりの形や仕上がりにならなかった
  • アートメイクをした部位が派手で浮いてしまう

施術後はデザインの変更が難しい

医療アートメイクは染料を表皮に注入し、皮膚が新陳代謝を繰り返すことでだんだんと色素が対外へ排出され、施術後2〜3年ほどで色が落ちていきます。そのため、施術後に失敗と感じてももとに戻すことが難しいとされます。

薄い色から濃い色へ、短い部分へ長さを足すなどの修正(レタッチ)は可能ですが、その逆は難しいため、事前のデザイン決めをしっかりおこなうことが重要となります。

修正は可能だが非効率

医療アートメイクのデザインや形を修正・除去をしたい場合、いくつかの方法があります。

レーザーによる色素除去

色素に反応するQスイッチヤグレーザーやピコレーザーを用いて色素の除去を促します。しかし、アイブロウやアイラインに使用される黒い色素と比べてリップに使用されているような赤い色素は反応しにくいとされます。

また、レーザー照射をすることによる肌ダメージやダウンタイム、発生する料金などを考慮すると非効率な除去方法といえるでしょう。

除去剤による色素除去

アートメイク専用の除去剤などが存在しますが、色素が薄くなるまでには半年〜1年ほどかかってしまいます。また、除去剤による肌ダメージや皮膚に赤みが残る可能性もあります。

肌色修正

アートメイクの上から、肌色の染料を入れてアートメイクのラインを修正する手法です。自身の肌色に完全に合わなかったり施術者の技量により左右されたりするため、見た目が不自然になる可能性の高い方法です。肌色修正はアートメイク修正・除去の最後手段と考え、かならず修正の症例数が多い熟練者に依頼しましょう。

衛生面に気を使っている医療機関を選ぶ

アートメイクは不衛生な状態でおこなうとB・C型肝炎などの感染症のリスクが高くなります。針の使い回しをしていないか確認するために、施術時に患者の目の前で針を開封する医療機関や、器具の滅菌処理など衛生面に関する情報を事前に調べておくと良いでしょう。

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